ゼロエミッションとは? 太陽光パネル設置義務で注目の日本と世界の動き

世界の気温上昇や気候変動問題に関連し耳にするようになったゼロエミッションですが、「温室効果ガス排出量実質ゼロ」を謳うカーボンニュートラルとどこが違うのでしょうか?
すでに始まっているゼロエミッションの取り組みや、目標実現のためにクリアすべき課題をご紹介します。

ゼロエミッションとは? カーボンニュートラルとの違いをご紹介

最近よく耳にするゼロエミッションですが、カーボンニュートラルとの違いは何でしょうか?

ゼロエミッションとカーボンニュートラルとの違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

ゼロエミッション

カーボンニュートラルは「二酸化炭素排出量を実質ゼロにする」という考え方で、排出された二酸化炭素と同量を処理・吸収することでトータルの排出量をゼロにしようという理念です。

ゼロエミッションは、1994年に国際連合大学が提唱した「廃棄物のエミッション(排出)をゼロにしよう」という理念で、「ゼロエミ」と略されることもあります。

廃棄物には、家庭や企業から出るいわゆる「ゴミ」のほか、ゴミを焼却する際に発生する二酸化炭素などの温室効果ガスも含まれます

ご承知のように、廃棄物の問題は大きな社会問題となっています。
環境省によると令和2年度のゴミ総排出量は4167万トン(東京ドーム約112杯分)で、ゴミ埋立地はあと22年でいっぱいになるといわれており、ゴミの処理費用に2兆円以上の経費がかかりました。加えて、このゴミ処理時に排出される温室効果ガスによる環境負荷が懸念されているのです。

しかし、ゴミや温室効果ガスをまったく出さずに生活するということは現実的ではありません。そこで、排出された廃棄物を再利用することで、最終的に埋め立て処分される廃棄物の量をゼロに近づけるのが、ゼロエミッションの基本的な考え方です。

太陽光パネル設置が義務に? ゼロエミッションを目指す世界と日本の動き

東京都は2050年までに、CO2排出量の実質ゼロに向けた「ゼロエミッション東京」 の実現を目指しています。
再生可能エネルギーによる電力利用の割合の増加や、次世代自動車の普及促進などの戦略により気温上昇を1.5℃に抑え、2030年までに温室効果ガス排出量を半減する「カーボンハーフ」 を表明しています。

この取り組みを加速させるため、2025年4月から大手ハウスメーカー等が供給する新築住宅等への太陽光発電設備の設置や、断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける制度を創設しました。この制度によって注目を集めている太陽光パネルの設置に対して、支援策に780億円を計上しました。

ほかにもゼロエミッションを目指す取り組みのひとつが「エコタウン」です。
これは地方自治体が持続可能なビジネスモデルを作り、国に承認されればエコタウンとしての支援を受けられるというもので、秋田県では鉱山関連技術や基盤を活用した家電リサイクル事業の推進など、それぞれの自治体が地域の特性を生かした取り組みを行っています。

また、多くの民間企業もゼロエミッションに積極的に取り組んでいます。
経済産業省の「ゼロエミ・チャレンジ」では、積極的にゼロエミッションに取り組んでる300以上の国内企業が紹介されています。

ある大手住宅総合機器メーカーでは、工場から出る陶器のくずを路盤材(道路の材料)などに活用しています。ほかにも、大手飲料メーカーではビールの製造過程で出る麦芽の殻皮を牛の飼料や堆肥に活用したり、あるコンビニチェーンでは納品期限の切れた食品をフードバンクに寄贈するといった事例もあります。

海外では「ゼロエミッション・ビークル(ZEV:Zero Emission Vehicle)」と呼ばれる自動車に関連したゼロエミッションが目立ちます。
ハイブリッド車や電気自動車へのシフトを進め、同時に燃料電池自動車の開発や、水素ステーションなどのインフラ整備もすすめられています。



ゼロエミッション実現には課題も。解決策は?

ゼロエミッションには課題もあります。
それは、廃棄物をリサイクルする際にもエネルギーが必要であるという点です。
せっかく廃棄物をリサイクルしてもその加工や運搬に多くのエネルギーを使うので、CO2を新たに排出するという点で解決に向けての課題が残ります。

リサイクルの際に、再生可能エネルギーを使用することでCO2排出を防ぐことができますが、再生可能エネルギーはコストが高くなりがちであるという問題もあります。
経済産業省によると、もし今の電力の半分を再生可能エネルギーに変えると、コストは現在の約2倍になると試算されています。

こうした問題を解決するためには、分野を超えた協力と連携が重要となります。
原料調達から製造・物流・販売、そして廃棄に至るまで、サプライチェーン全体で協力して廃棄を減らす努力が不可欠なのです。
低コストで運用できる新しいエネルギーの技術開発も欠かせませんし、そのための政府からの補助や助成金制度も重要になります。

まとめ

すべての廃棄物を再利用することで、廃棄物排出を実質ゼロにするゼロエミッションは、持続可能な社会を目指すための重要な取り組みです。
「廃棄物をゼロに」するためには、まだまだ課題が残されています。しかし、毎年少しずつゴミやCO2の排出量が減っていることからも分かるように、成果は確実に表れています。
社会全体が大量生産・大量消費型から循環型へとシフトするために、一人ひとりが生活スタイルを見直し、意識を変えていくことが求められています。

[参考]
環境省:
https://www.env.go.jp/press/110813.html
https://www.env.go.jp/content/900533362.pdf

経済産業省:
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/zero-emission_challenge/set_disclaimer_zeroemi_challenge.pdf
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/jcm.html
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/3r_policy/policy/pdf/ecotown/ecotown_casebook/akita.pdf

秋田県:
https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/5681

東京都:
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/zeroemission_tokyo/index.html
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/vehicle/sgw/promotion/index.html

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