地球温暖化による気温の上昇は陸上だけに起こっているのではありません。海にも影響を及ぼしており、海水温の上昇となって表れています。日本近海の海水温も上昇を続けており、地球温暖化は海洋生物に対しても大きな負担を与えています。
1. 止まらない海水温の上昇、地球温暖化が海に与える影響
地球温暖化による海水温の上昇が急激に進んでいることをご存知でしょうか。
CO2をはじめとした温室効果ガス排出量の増加で気温が上昇し、地球温暖化が急速に進んでいます。同時に、地球温暖化による気温の上昇は、海水温の上昇も招いているのです。
世界全体の海水温の年平均上昇率は100年間で+0.56℃となっていますが、日本近海海水温の年平均上昇率は2021年までの約100年間で+1.19℃でした。
100年間の日本全国の年平均気温上昇率は+1.28℃ ですのでそれよりは低いように感じるかもしれません。しかし海洋は大気に比べて変化しにくいために、いったん上昇してしまえば元に戻りにくく、海水温の上昇は長期化していきます。
地球温暖化対策を実行して気温上昇は抑えられたとしても、すぐに海水温は変化せず、海水温が低くなるまでは相当な時間がかかるからです。
また、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測データによると、21世紀の間、世界全体で海水温は上昇しつづけるとされており、2060年には約0.6℃(RCP2.6 シナリオ)〜約1.4℃(RCP8.5 シナリオ)の上昇が予測されてます。
出典:IPCC (2013a)Figure11.19
2. 砂浜が消えてなくなる!? 海水温上昇による地球へのダメージ
海水温が上昇していくことで、将来、砂浜が消えてなくなるかもしれません。
海水温上昇によるもっとも大きな影響としては、台風の発生回数が増え、規模も巨大化することです。海水温が上昇することで水蒸気が発生しやすくなり、台風のエネルギー源がより多く供給されるからです。
また、地球温暖化によって陸上の氷河や氷床の氷が溶け出して海に流れ込むために、海面の上昇を招くことになります。海水温が高くなると海水の体積が膨張しますので、それも海面上昇の要因となっています。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、1901年から2010年の約100年間で世界の海面は19センチメートル上昇していると報告されています。現在、想定外の速さで海面上昇がさらに進んでおり、2100年には最大で110センチメートルも海面上昇するとしています。
海面が100センチメートル上昇すると、日本全国の砂浜の9割以上が消失するといわれています。同時に、海面上昇により台風や高潮が発生したときの脅威が増すことになります。
日本の都市部には、標高が満潮時の平均海水面よりも低い海抜ゼロメートル地帯が数多く存在します。このようなエリアは、海面上昇に対して堤防をより高くする必要があります。
海水温の上昇は、海洋生態系の破壊にもつながります。サンゴとその表面に住む褐虫藻という植物プランクトンは海水温が上昇すると死滅します。そうするとサンゴが白化してしまい、サンゴ礁の死滅につながってしまうのです。
海水温の上昇はサンゴ礁の死滅に止まらず、魚の分布に大きな影響を与えているといわれ、漁獲量の減少という形で表れています。
3. まとめ
地球温暖化は陸上だけでなく海洋にも大きな影響を与えています。そして、地球温暖化による海水温の上昇は私たちの生活にも大きく関わってきます。
[参考]
気象庁:
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html
地球環境研究センター:
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/7/7-1/qa_7-1-j.html
環境省 那覇自然環境事務所:
https://kyushu.env.go.jp/okinawa/pre_2016/post_22.html
全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA):
https://www.jccca.org/faq/15931
IPCC:
https://www.ipcc.ch/report/ar5/wg1/
[出典]
IPCC (2013a)Figure11.19:
https://www.ipcc.ch/report/ar5/wg1/near-term-climate-change-projections-and-predictability/