SDGs7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに 持続可能なインフラとは

毎日の生活に欠かせない電気ですが、一方で、世界ではいまだ7億人以上が電気のない暮らしを強いられています。
SDGs7『すべての人が手ごろで・安全で・クリーンなエネルギーを』を達成するためには、どのような取り組みを行うと実現できるのでしょうか。
世界の現状を見据えた新しいエネルギーの研究開発と、すでに始まっている取り組みなどをご紹介します。

SDGsのゴール7とは?

SDGs7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、簡単にいえば「世界中の人が安価で電気を使えるようにしよう」という目標です。もちろん電気ならなんでもOKというわけではなく、目指すのはクリーンエネルギーの創出です。

クリーンエネルギーと似ている言葉で「再生可能エネルギー」がありますが、こちらは使えばなくなる石油や石炭とは違い、太陽の光や風力、水力、地熱等の絶えず補充されて枯渇しないエネルギーを指します。
一方、クリーンエネルギーとは、一般的に温室効果ガスを出さないエネルギーを指します。さきほど、再生可能エネルギーの例として記載した太陽光、風力、水力、地熱等の自然由来のエネルギーは、温室効果ガスなどを排出しないので、クリーンエネルギーとも表現されます。

SDGs7では、こうした再生可能でクリーンなエネルギーをみんなが使えることを目指しており、まずは「2030年までに誰もが安く電気を使えるようにする」「再生可能エネルギーの割合を増やし、今の倍の速さでエネルギー効率をよくする」などの目標を立てました。
さらに国際協力によって環境にやさしいエネルギー開発技術をすすめることや、開発途上国へのインフラ整備や再生可能エネルギーへの投資を行うなどの具体的な方法も考えられました。
とはいえ、これは開発途上国だけの問題ではありません。
実は世界で使われているエネルギーのうち再生可能エネルギーはわずか17.7%で、日本を含め先進国の多くが今でも石油や石炭、天然ガスなどに頼って発電しているのが現状です。
世界のエネルギーがすべてクリーンエネルギーにシフトするには、もうしばらく時間がかかりそうです。


なぜクリーンなエネルギーが必要なのか?

そもそも、なぜクリーンエネルギー由来の電気が必要なのでしょうか。

化石燃料の使用により発生する温室効果ガスは、気候変動の主要因になっており、熱波、干ばつ、洪水、台風など、激増する気象災害による被害者・死亡者も年々増えています。このような間接的な被害だけでなく、化石燃料を燃やすことで発生するPM2.5などの有害物質による直接的な健康被害があることも重要な問題です。2018年には化石燃料の使用で発生した大気汚染を原因とする死者が全世界で800万人以上にのぼったことが明らかになりました。
こうした理由から、早急にクリーンエネルギーへのシフトが求められているのです。

SDGs7解決のカギを握るクリーンエネルギーとは

次世代のエネルギーとして有力視されているのは、太陽光や風力などのクリーンな再生可能エネルギーです。これらの自然エネルギーは、自然相手であるゆえに安定したエネルギー量の確保が難しい、コストが高くなりがちなどの課題がありましたが、日々、世界中でさまざまな開発や研究が行われ徐々に成果を上げつつあります。

そのほかには、水素やバイオマスなどのエネルギーも注目されています。

水素は酸素と反応させることで、エネルギーとして利用することができます。方法は大きく分けて2つあり、1つめは燃焼させて熱を生成する方法、2つめは燃料電池を用いて直接的に電気と熱を生成する方法です。いずれの場合もCO2は排出されず、再生可能エネルギーを使って製造すれば、いわゆる「グリーン水素」が実現します。
EUや中国、アメリカではグリーン水素製造に大きな予算を投入しており、日本でも、福島県で世界最大級の「水素エネルギー研究フィールド」が稼働しています。

動物や植物由来であるバイオマスエネルギーは、製造過程でCO2が排出されます。しかし、たとえば木材はもともと光合成でCO2を吸収しているため、トータルでCO2排出量はプラスマイナスゼロになると考えられ、クリーンエネルギーに分類されます。木材を遠くから輸送したり、持続可能でない木材を使用してしまうと、本質的にクリーンエネルギーと言い難くなってしまう点は注意が必要ですが、廃材・廃棄物などをエネルギーに変えられるため、再利用の観点で有用といえます。
すでに自治体レベルで成功例があり、有名なのが北海道下川町です。町の面積のうち9割が森林で覆われているこの町では、木質バイオマスボイラーを温泉や公共施設に導入することで、燃料費約1,774万円、CO2は約1,220tの削減に成功しました。

まとめ

再生可能エネルギーやクリーンエネルギーへのシフトには政府だけでなく、企業や教育機関、さらに私たちみんなの連携が必要です。
日々当たり前のように使っている電気を、より多くの人が、より安心して使えるように、身近な利用方法から見直していきたいものです。


[参考]
経済産業省資源エネルギー庁:
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso.html

農林水産省:
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/interview/shimokawa.html

国際連合広報センター:
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/

ユニセフ:
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/7-energy/

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン:
https://www.ungcjn.org/sdgs/goals/goal07.html

下川町役場:
https://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/section/2020/01/post-92.html

livedoor NEWS:
https://news.livedoor.com/article/detail/19677121/

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