SDGs11とSDGs7で共に取り組む「クリーンエネルギー」の未来

地球環境にやさしいクリーンエネルギーですが、災害など緊急時のライフライン確保に有効な側面があることをご存じでしょうか? いざというときの備えとして家庭でも導入できるクリーンエネルギーは大きな安心となります。
環境にやさしく災害に強い、クリーンエネルギーの日本での歩みとこれからを考えます。

再エネとどこが違う? クリーンエネルギーの種類と導入の歴史

クリーンエネルギーとは、環境に有害な排出物を出さない・あるいは最低限に抑えた「きれいな」エネルギーを指します。明確な定義はありませんが、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどを利用して得られるエネルギーがクリーンエネルギーであるとされています。

似た言葉で「再生可能エネルギー」「新エネルギー」「自然エネルギー」などがありますが、何にフォーカスしているかで使い分けられています。例えば、再生可能エネルギーは使っても枯渇せず「再生」されるということ、新エネルギーは化石燃料に代わる「新しい」エネルギーであるということ、そして自然エネルギーは「自然現象」を利用したエネルギーであることをそれぞれ強調しています。

日本がクリーンエネルギー導入の取り組みを始めたのは1974年からで、70年代に2度にわたって起きたオイルショックが関係しています。第4次中東戦争をきっかけに国際原油価格が跳ね上がったことで、国内に大きな混乱を引き起こしました。
エネルギーの大半を石油の輸入に頼っていた日本は、以後、エネルギー多様化への転換を進めることとなります。

それから約50年、日本のクリーンエネルギーの割合は20%強にまで上昇しました。ヨーロッパなど軒並み40%を超える国が多数あることを考えると、決して高い比率とは言えませんが、それでも、年間日照時間が短く資源が少ない、頻繁に台風が上陸するなど災害も多いという、気候的・地理的に不利な条件下でありながら、日本はクリーンエネルギー普及に向けて様々な努力を払ってきました。

SDGs7達成に不可欠! クリーンエネルギーはなぜクリーン?

日本でのクリーンエネルギー普及に向けた取り組みのひとつは、技術開発によるコストの低下です。変換効率の高い新素材の研究や低コストを目指した製造プロセスの確立などに産学連携で取り組んだ結果、家庭用ソーラーパネル(4kW)の場合、10年前なら約170万円の費用が必要でしたが、現在では100万円前後で設置することが可能になりました。

東京都をはじめいくつかの自治体では、2025年に太陽光パネル設置が新築の個人住宅でも義務化される予定です。新築に限らず、増改築でも要件を満たせば補助金・助成金を受け取れる自治体もあるため、太陽光発電の導入は今や現実的な選択肢となっています。

発電した余剰電力を電力会社が買い取る売電制度もクリーンエネルギー普及を後押ししました。2012年には太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)が、2022年からはFIP制度が始まりました。価格は下がりつつあるとはいえ、設置のための大きな負担があるなかで、一定期間、一定の価格で余剰電力を売ることができるというのは魅力のひとつです。

クリーンエネルギー普及はエネルギーの安定供給だけでなく、地球環境への配慮のひとつとしても進めていかなければなりません。太陽光発電の場合、ソーラーパネルの製造・運送・設置の過程で二酸化炭素が排出されますが、発電時に二酸化炭素を排出しないため、運用し始めると相殺され「元が取れる」システムとなっています。
SDGsではゴール7で「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」を掲げています。持続可能な社会の実現には、環境にやさしいクリーンエネルギーの普及が欠かせません。




災害にも強いクリーンエネルギー――地産地消でSDGs11実現へ

クリーンエネルギーは「環境にやさしい」と同時に、「災害に強い」というメリットを持っています。SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」では、自然災害の被害を受けにくい、被害を受けても迅速に立ち直れる社会を目指しています。その実現に貢献するのが、クリーンエネルギーの力なのです。

2024年1月に発生した能登半島地震では、断水・停電していても使える移動式の水洗トイレが話題となりました。浄化装置でし尿を処理し、洗浄水として再利用する仕組みで、電力は太陽光発電で賄われます。簡易トイレと違い衛生面も確保できるため、普及が期待されています。

「完全自己処理型水洗トイレ」へと進化した、最新型の移動設置型トイレが話題となりました。浄化装置がし尿を処理・再利用し、太陽光発電で電気を賄うことにより、停電・断水している災害時でも水洗トイレが使えるという仕組みです。簡易トイレと違い衛生面も確保できるため、普及が期待されます。

このように、クリーンエネルギーは災害時の非常用電源としても有効です。遠くにある大規模発電施設から送電線で電気を送るという一般的なシステムだと、災害時に停電が発生した場合、多くの世帯が影響を受けてしまいます。一方、太陽光やバイオマス発電なら地方分散型、地産地消型の発電が行えるので、ソーラーパネルを設置しておけば災害時に電気を自給自足し続けることも可能です。
大きな発電所や送電線を必要としないこうしたシステムは「オフグリッド」と呼ばれます。「グリッド」とは電力会社と家などを電線でつなぐ電力網・送電系統を指し、オフグリッドはその繋がりがoffになっている状態です。さらに政府はオフグリッドに蓄電池や変電所などを組みあわせ、小さなコミュニティ内で電力を安定供給するマイクログリッドの構築を幾つかの自治体で進めています。

また、小規模な地産地消型の発電は地方産業の活性化にも貢献し、島や山岳地帯に電気を供給するのにも役立ちます。
自然災害の多い日本で自立できる地域の発電システムは、今後ますます重要なエネルギー源となるでしょう。


まとめ

環境にやさしく災害に強いクリーンエネルギーは、SDGsのゴール7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」、両方の実現に貢献します。しかしその普及には地域住民や自治体との連携が欠かせません。
クリーンエネルギーの重要性を啓発し、より導入しやすい制度作りの土壌が必要とされています。

[参考]
経済産業省:
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/saienerekishi.html

環境省:
https://www.env.go.jp/content/000118595.pdf

農林水産省:
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2112/spe1_01.html

東京都:
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/solar_portal/program.files/230922_QA.pdf

ユニセフ:
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/7-energy/
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/11-cities/

信越放送:
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbc/929396?display=1

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