森林破壊の気になる現状。酸性雨の脅威と砂漠化への懸念

毎年広大な森が消え、多くの人や動物の生活に影響を与えています。遠いアフリカや中国などで進む森林破壊や砂漠化は、日本に住む私たちにとっても他人事ではありません。今回は、森林破壊の現状と、森を守るための取り組みについて解説します。

毎年消える森 酸性雨だけが原因? 止まらない森林破壊の現状

森林が恐ろしいスピードで失われています。2015年から2020年まで、2.2秒毎にサッカー場1面分の森が消えていきました。植林等で増えた分を計算に入れても、毎年東京ドーム約100万個分(474万ha)の森が失われています。

こうした森林破壊はなぜ起こるのでしょうか?気候的な原因もありますが、近年注目されているのが人為的な影響です。そのひとつが、1970年代から耳にするようになった酸性雨です。酸性雨とは、化石燃料を燃やしたときに放出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの酸性物質が大気中で硫酸や硝酸へと変化し、雨や雪に溶けて戻ってくるものです。旧チェコスロバキアの国立公園の大部分の木が酸性雨によって枯れてしまったニュースは、世界に大きな衝撃を与えました。

近年では、酸性雨以上に森林を破壊する原因として過剰な伐採が憂慮されています。木材は、私たちの生活の中で欠かすことのできない大切な資源です。プランテーション開発、農地転用目的での大規模な伐採や違法な伐採などが行われると、どんなに植樹をしても森林の回復は追いつきません。

貧困や人口増加も森林破壊に拍車をかけています。貧困ゆえ、焼き畑後に土地が回復するのを待ちきれず次の耕作を行わざるを得ない人が大勢います。本来は焼き畑後の燃えた草木が肥料になるはずなのに、土地が回復しないまま次の耕作をしてしまいます。その結果、徐々に土地は痩せていき、作物が採れなくなるとまた次の土地へと移動してまた森林伐採や焼き畑を行うため、結果として森林破壊が拡大するという悪循環が続いてしまうのです。

生物多様性の消失から難民問題まで――森林破壊がもたらす影響とは

森林破壊は多くの問題を引き起こします。森がなくなると土の水分保持力が失われ、雨で土が流されやすくなります。また、日射が強い乾燥地では、地中の水分バランスが崩れると塩分を含んだ地下水が地表へ移動し、蒸発して土に塩が残り、塩害が発生することもあります。塩害は生活用水や農業用水にも大きな影響を与え、さらなる砂漠化にも繋がります。こうした土地に緑を取り戻すのは簡単なことではありません。

森林破壊は生態系の破壊にも直結します。森林には陸地の約8割の種が生息しているといわれ、これらは森林生態系のメンバーとして繋がりを持っています。森林がなくなれば生物の多様性が失われ、多くの種が消えてしまうでしょう。狩猟や山菜・キノコの採取など、自然の恩恵(生態系サービス)に依存している人たちの生活は厳しくなり、別の場所に移動せざるを得ないかもしれません。

国連は2017年からの30年間で、サハラ以南の砂漠化した土地からおよそ6,000万人が北アフリカやヨーロッパに移動する可能性があると指摘しています。こうした移動は、時に難民問題や紛争に発展する恐れもあるのです。

森林破壊は気候変動にも関係します。森林は多くの二酸化炭素を吸収して蓄えることで、温暖化防止に貢献しています。林野庁によれば、36〜40年生のスギ約15本で、1世帯から1年間に排出される二酸化炭素を吸収することができるといわれています。森林が消えれば地球温暖化が進み、気候に大きな影響を与えることになるでしょう。

森林破壊を食い止めるための取り組み

こうした深刻な森林破壊を食い止めるために、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
1994年に「深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)における砂漠化に対処するための国際連合条約」、いわゆる「砂漠化対処条約」が採択されました。現在は196の国と地域、EUが締約し、自国がどんな取り組みを行っているか定期的に報告する義務があります。

日本は「国際機関への拠出」「二国間援助」「NGO支援を通じた草の根レベルの協力」を主体とした取り組みを行ってきました。その1つが「在来技術の近隣間移転」です。これは、問題となっているエリアの近隣地域で効果を上げている技術を導入するというものです。
例えば、石を積み上げて土壌の流出を防ぐ技術や、作物の栽培箇所に穴を掘って水分を溜める技術などの導入、ほかにも現金収入になりやすい植物栽培の普及といった面で支援が行われてきました。今後もNGOや民間企業とともに、こうしたサポートが続くことでしょう。

私たちにできる取り組みとしては、例えば、酸性雨防止への貢献が挙げられます。木材製品を購入する時はFSC認証マーク付きの製品を購入するといった消費活動などもあります。このようなエシカル消費を通じて適切な木材の生育と流通を助け、私たちは違法伐採NGを表すことができるのです。


まとめ

国土の7割近くが森で覆われている日本に住んでいると、世界で起きている森林破壊を自分事として捉えるには実感が湧きにくいかもしれません。長い間私たちを守ってくれてきた森を、私たちが壊してしまうことのないように、日々の暮らしでエシカル消費を心掛け、森を守ることに貢献したいですね。


[参考]
林野庁:
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-5.pdf

国際連合広報センター:
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/24696/

アジア大気汚染研究センター:
https://www.acap.asia/acidrain/

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