SDGs12 つくる責任 つかう責任 企業と消費者が協同する持続可能な循環型社会

地球が再生できる1年分の資源を、人間はわずか8か月で使い切っています。資源や商品を大量に消費することに慣れてしまった私たちにとって、循環型社会へとライフスタイルを変更するのは容易ではありません。
それでも、SDGs12は早急に実現しなければならない課題です。
今回は、私たちが果たすべき「つくる責任 つかう責任」とは何かを考えます。

持続可能な生産と消費を目指す SDGs12「つくる責任 つかう責任」とは

SDGs12「つくる責任 つかう責任」では、持続可能な生産と消費を目指しています。そのゴールの実現に向け設定された11のターゲットは、大別すると、主に「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)の実行」と、「天然資源の効率的な管理・利用や食料・化学物質の廃棄」に関する項目、そして「企業や政府に求められる取り組みと情報の周知」に関するものとなります。

■「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」の実行
「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」は2012年に国連の開発会議で決められたものです。この枠組みを先進国が主導しながら開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、世界のすべての国々が協力して、低炭素型社会の実現と循環型経済の仕組み作りを目指しています。

■資源や製品の効率的な管理・利用・廃棄
天然資源の管理や効率的な利用や、化学物質や廃棄物から環境を守るためにごみを減らすことを求めています。食料廃棄については、2030年までに一人当たりの食料廃棄量を半分に減らすことが掲げられ、さらに「リデュース・リユース・リサイクル」という、いわゆる「3R」により、ごみの発生を減らすことを目指しています。

■企業や政府に求められる取り組みと情報の周知
企業は定期的に持続可能な取り組みについての情報を含めたレポートを報告し、国や自治体は何かを購入する際には持続可能な形で行うことなどを促進します。また、人々が持続可能な社会やライフスタイルについての教育や情報をあらゆる場所で入手できることも求められており、ゴール達成には途上国の経済や環境面を配慮しつつ、支援が必要であるとされています。




循環型社会はなぜ必要? 持続可能な生産と消費が求められる理由

大量生産・大量消費によってモノの値段が安くなり、多くのモノを所有しやすくなったことで、私たちは以前よりも簡単に「豊か」な気持ちを味わえるようになりました。
しかし、大量生産・消費型社会は多くの弊害も引き起こしています。

そのひとつが資源の枯渇です。
「アース・オーバーシュート・デイ(Earth Overshoot Day)」という言葉をご存知でしょうか? オーバーシュートとは「度を越す・行き過ぎる」という英単語です。

私たちは、毎年地球が再生産できる以上のペースで自然資源を使っています。
アース・オーバーシュート・デイは、地球が1年間で再生できる資源を人間が使い切ってしまったとされる日を毎年算出しているもので、2023年のアース・オーバーシュート・デイは8月2日でした。1年が終わるまでまだ5カ月近くあるにも関わらず、1年分の資源を使いきってしまった計算です。
こうした「度を越した資源利用」が続いていくと、資源の枯渇はもちろん、さらなる環境問題の悪化にもつながります。

食料問題に関しても多くの食品が廃棄されている一方、世界では7億人以上が飢餓状態にあります。食料の廃棄はもったいないだけでなく、廃棄物の処理時に排出される温室効果ガスの増加にもつながるため、無駄なく効率のよい消費を心掛けるようにしましょう。

循環型社会へのシフトには、消費者と生産者双方の理解と協力が欠かせません。
「ロス」は生産・加工・流通・消費、すべての段階で生じるものなので、すべての人がロスを減らすことを意識する必要があるのです。




SDGs12実現への取り組み――つくる責任 つかう責任はすべての人に

SDGs 12実現に向け、「つくる側」である生産者には、生産・製造時の廃棄物量を減らし、持続可能な生産体制を作る責任があります。食品メーカーの中には、賞味期限延長の可能性を検討している企業や、野菜の皮といった食品廃棄物等のリサイクルに努め、高い再生率をキープしている菓子メーカーもあります。

生産者と消費者をつなぐサービス事業者も、ゴール12の実現に協力できます。
いくつかの地域ではテイクアウト容器のシェアリングサービスがスタートしています。この取り組みでは、プロジェクトに事前登録したユーザーがテイクアウト利用後に近くのプロジェクト加盟店へ容器を返却し、衛生基準を満たした業者が店舗から回収した容器を洗浄・再利用することでごみの削減に貢献しています。現在サービスが行われているエリアに加え、自治体の支援を受けて実証実験をする地域もさらに増えており、こうした循環経済は官民の協力で推進されています。循環経済に関連したビジネスの市場規模は2030年までに80兆円に拡大するよう、進められています。

私たち「つかう側」には、どんな責任があるでしょうか?
まず生産・廃棄の現状を知ることが大切です。たとえば、1個の食べ物を生産するのにたくさんの水や飼料、電力などが使われるにも関わらず、日本だけで、国連世界食糧計画の年間食品援助量の約1.2倍の食料が廃棄されています。
こうした事実を改めて知ることで、食品を大切に使い切ろうという姿勢につながります。そして、エシカルな消費を心がけたり、廃棄時にリサイクル収集に協力するなど、小さな取り組みを始めることから「つかう責任」を果たすことができます。




まとめ

大量生産・消費型社会の弊害は、生産・処理時に排出される二酸化炭素による環境への悪影響や社会の格差を引き起こしています。
ゴール12を実現するために、世界の国々や民間企業、そして消費者が一体となり、それぞれが「つくる責任」と「つかう責任」を果たすことによって循環型社会へと近づくことができるのです。


[参考]
外務省:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal12.html

環境省:
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r05/index.html https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r05/html/hj23010202.html

消費者庁:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/

ユニセフ:
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/12-responsible/
https://data.unicef.org/resources/sofi-2023/

WWFジャパン:
https://www.wwf.or.jp/activities/opinion/5105.html

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