サステナブルな街づくりとは? 持続可能な社会に向けて世界が結束

近年、SDGsと共にサステナブル(持続可能)な街づくりが注目されています。
ヨーロッパで先行し、日本でも取り組みが行われつつある「サステナブルな街づくり」とは、どのような取り組みなのでしょうか?

サステナブルな街づくりってなに?

「サステナブルな街づくり」とは、気候変動や自然災害、感染症などのリスクを減らしながら以前よりもよい社会をつくり、回復力のあるレジリエントな社会を目指している「Build Back Better(ビルドバックベター=よりよい復興)」を実現できる街づくりのことです。

サステナブルな街づくりの実現に向けて、様々な国や地域で取り組みが始まっており、「再生可能エネルギーを使い、環境への負荷を持続可能な水準まで低減させている街」や「子どもから高齢者まで、笑顔で安心して、健康的に暮らせる街」「環境負荷の低減を目指し、“脱・車社会”を実現した街」など、社会課題に対応した街づくりを推進しています。

サステナブルな街の例(海外編)

「サステナブルな街づくり」の具体的な事例を見ていきましょう。
「サステナブルな街づくり」はヨーロッパで先行しています。

オランダ・アムステルダム市ではサーキュラーエコノミー(循環経済)に関して、2050年までに100%サーキュラーエコノミーへの移行を実現するとした長期戦略を公表しています。

<アムステルダム市のサーキュラーエコノミーへの移行のための長期戦略>
・2025年までに家庭から出るごみをリサイクルや再利用するため65%の分別率を実現
・2030年までに一次原材料の使用を50%削減
・2050年までにサーキュラーエコノミーへ完全移行

また、イギリス政府は2020年にウォーキングとサイクリングの推進計画に20億ポンドを投資しています。
その推進計画には、e-バイクレンタル制度の創設や自転車レーンや歩道の増設、サイクリング研修、治療の一環としてサイクリングをすることを医師が推奨する制度など、様々な内容が盛り込まれています。この計画は、コロナ禍における健康志向やCO2削減など、人や環境に配慮された事例となっております。

「サステナブルな街づくり」はアジアにも広がりつつあります。
ベトナム・ハノイ市で開発が進められているスマートシティがそれに当たります。
ハノイ市が抱える空気や水質などの環境衛生や高度な安心・安全、水準の高い教育などといった社会課題を、日本企業が持つ技術・サービスとベトナム企業とのコラボレーションで解決していこうとしています。

サステナブルな街の例(日本編)

日本でもサステナブルな街づくりが進められています。

平成31年1月31日に開催された「SDGs全国フォーラム2019」で「SDGs日本モデル」宣言が発表されました。これは、地方自治体が、国や企業、団体、学術機関、住民などと連携して、地方からSDGsを推進し、地域の課題解決と地方創生を目指していくという考えや決意を示すものです。

賛同自治体は2022年11月時点で445(都道府県43、市区町村402)にものぼり、各自治体で様々な取り組みが行われています。

神奈川県藤沢市は大手電機メーカーと連携し、官民一体の共同プロジェクト『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)』を展開しています。1,000世帯の住宅、健康・福祉・教育施設、商業施設、集会所などが立ち並び、「エネルギー」「セキュリティ」「モビリティ」「ウェルネス」「コミュニティ」の5つのスマートサービスが街を支えています。
「エネルギー」の取り組みでは、全ての戸建住宅には太陽光発電システムと蓄電池が備えられており、家庭の使用電力をマネジメントするシステムと合わせて、エネルギーの自産自消を目指しています。

また、愛知県蒲郡市では、サーキュラーエコノミーをまちづくりに組み込み、市に関わる人々のウェルビーイングを促進する「サーキュラーシティ」を目指すことを表明しています。重点分野に「教育」「消費」「健康」「食」「観光」「交通」「ものづくり」の7つを設定し、取り組みを行っています。 「食」分野では、食品廃棄物を未利用資源と捉え、有効活用を行うためフードバンクの活用やコンポストや生ごみ処理機の利用推進など、食品リサイクルによる肥料化や飼料化の取り組みを進めます。
「交通」分野では、観光客を含む子どもから高齢者までが安心して利用できる移動サービスの整備やMaaS(※1)やCASE(※2)など先進のモビリティサービスの導入など、持続可能で利便性の高いスマートな地域づくりを推進していきます。

※1 MaaS…Mobility as a Serviceの略。地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービス。
※2 CASE…Connected(接続)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動)の略で、これらを組み合わせた次世代の地域交通。

サステナブルな街づくりを加速する自治体間ネットワーク

「サステナブルな街づくり」を進めていくために、以下のような自治体間ネットワークも発足しています。

■ C40(世界大都市気候先導グループ)
気候変動対策に取り組んでいる世界の97都市で構成された自治体間のネットワークです。

■ ICLEI(持続可能な都市と地域を目指す自治体協議会)
持続可能な未来の構築に取り組む持続可能な社会の実現を目指す、世界2,500以上の地方自治体が参加している機関です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。現在、私たちの暮らしは気候変動やパンデミックなど、様々な課題に直面しています。この社会課題を解決するためには、地域や国を越えたネットワークを活用・協力することや、企業や自治体など街全体で取り組むことが求められています。「サステナブルな街づくり」の取り組みは、今後もますます注目されるでしょう。

[参考]
内閣府地方創生推進事務局:
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kankyo/index.html

国土交通省:
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/japanmaas/promotion/

一般社団法人イクレイ日本:
https://japan.iclei.org/ja/

Fujisawaサスティナブル・スマートタウン:
https://fujisawasst.com/JP/

サーキュラーシティ蒲郡:
https://www.city.gamagori.lg.jp/site/circularcity/

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