全部エシカル? ネットゼロもゼロエミッションも! エシカルフードだけじゃない「倫理的」な消費とは

日本でも少しずつ「エシカル」な暮らし方が広がってきています。「エシカル商品を購入する」「フードロスを減らす」など、エシカルにはさまざまな消費行動が含まれていますが、「エシカル」なアクションはこれだけではありません。資源の使い方や働き方の変化など、エシカルは一見すると、意外に思える分野にも及んでいるのです。
今、私たちに「エシカル」が求められる理由と、今日から実行できるエシカルな取り組みについて紹介します。

「倫理的」な消費って何? SDGsにも繋がるエシカルの意味

「エシカル(ethical)」は「倫理的な・道徳的な」という言葉に訳されますが、特に最近では「人や地域社会、地球環境によいことをする」という意味で使用されることが多くなりました。また、消費行動と結びつけた「エシカル消費」という形で使われることも増えています。

「エシカル消費」とは、値段が安いから・いつも使っているから・デザインが気に入ったからという基準だけで商品を買うのではなく、それが人や環境によいモノかどうか、その背景も考えて購入しようという考え方です。広く知られるエシカル消費としては、フェアトレード商品や、リサイクルやアップサイクルに配慮した商品を購入することなどが挙げられます。

もちろん私たちができる「人や地球に良いこと」は、何かを購入することだけではありません。近年よく耳にする「省エネ」、廃棄物ゼロを目指す「ゼロエミッション」や、温室効果ガスの排出削減を目指す「カーボンニュートラル」、「ネットゼロ」……これらも地球環境への負荷を減らす倫理的な行動ですから、すべてエシカルだと言うことができます。

そしてこれらのエシカルな行動は、クリーンエネルギー導入や気候変動対策、海や陸の豊かさを守ること、フードロスやゴミの削減を掲げるSDGs達成につながっていきます。




エシカルを阻むハードルとは? それでも求められる倫理的行動

日本では、「エシカル」の認知度はまだまだ低く、この言葉が根付くにはもう少し時間がかかりそうです。令和4年に行われた消費者庁のアンケートによると、「エシカル消費の言葉も内容も知っている」と答えた人はわずか7.6%でした。エシカルや倫理という言葉自体、あまりなじみのない言葉なので無理もないことかもしれません。

また、「人と環境によいことを行う」というと、何となく自分にはハードルが高いと感じる人もいるのではないでしょうか?

たとえば、フェアトレードの製品は他製品に比べてやや高価だと感じたり、省エネを心掛けるにはちょっと手間をかける必要があったりと、多少の不便さを感じることもあるかもしれません。

しかし一方で、世界には、不当な搾取により困窮した生活を強いられている人びとや、働くために学校にいけない子どもたちが多くいます。また、気候変動の影響を回避するためにはCO2排出量削減が必要ですが、家庭やオフィスから排出されるCO2だけで全体の約3割を占めています。

これらの事実を踏まえると、私たち一人ひとりが、今よりも少し意識を変え、小さなアクションを起こすことはとても重要です。生産者を守り、資源を守り、地球環境を守るためには、家庭やオフィスなど、日々の生活の中でエシカルな選択をしていくことが必要なのです。


さまざまな分野のエシカル―徐々に広がる倫理的取り組み

多くの自治体ではエシカルを促進する取り組みが始まっています。消費者庁のサイトでは全国のユニークな取り組みを紹介していますが、たとえば九州7県で行われている「まちの修理屋さん」は、壊れたものを修理し長く使うことで廃棄物削減を目指しています。再生可能エネルギーを導入したり、EVカーシェアリングを公用車として利用する自治体も増えています。

民間でも、人と環境にやさしい原料調達や商品開発を打ち出す企業が多くなりました。そうした企業努力により、私たちは知らないうちにエシカルを実践していることもあります。何気なく購入した物が、実はアニマルウェルフェアやアップサイクルの理念に基づいた商品だったり、リサイクルしやすい容器が使用されていたりすることがあります。

そもそもエシカルの概念自体、新しいものではありません。前述のエシカル認知度アンケートでも、「エシカル」という言葉は知らなくても、「マイバッグの利用」「車に乗り合わせる」「衣類をフリマアプリで売却」など、エシカルに繋がる行動を実践している人は76%以上もいました。

エシカルは決してハードルの高いものではなく、私たちが気づいていないだけで、すでに少しずつ暮らしの中に浸透しているのです。



まとめ

エシカルとは、私たちの暮らし方や考え方の方向性を左右するものといえるかもしれません。日本には世界に誇る「もったいない精神」があり、これはまさしくエシカルな考え方といえます。日々の暮らしで行えるエシカルを見つけ、楽しみながら実践していきたいものです。

[参考]
消費者庁:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/about
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_003/assets/survey_003_221222_0001.pdf
https://www.ethical.caa.go.jp/ethical-fun.html

経済産業省:
https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2020/003/

農林水産省:
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/230609.html

環境省:
https://ondankataisaku.env.go.jp/re-start/list/

福岡県:
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/shuriyasan-shoukai.html

八街市:
https://www.city.yachimata.lg.jp/soshiki/21/21491.html

東京ガス:
https://www.tokyo-gas.co.jp/network/kids/genzai/g1_3.html

キューピー株式会社:
https://www.kewpie.com/education/information/egg/animal-welfare/

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