エシカルとは? 暮らしに取り入れるエシカルな考え方

SDGsを推進していくためには、「エシカルな暮らし=人や地球環境、社会、地域に配慮した暮らし」を実行していくことが非常に重要です。私たちが地球のためにできるエシカルな暮らしとはなんでしょうか?

エシカルな暮らしとは?

「SDGs」や「サステナブル」と並んで、「エシカル」という言葉をよく見かけませんか?

エシカル(ethical)とは、英語で「倫理的な」という意味の形容詞ですが、近年では「人や地球環境、社会、地域への影響に配慮した行動や考え方」というような意味合いが強まっています。

エシカルは形容詞ですので、名詞と組み合わさり様々な意味を持つワードとなります。例として、他者のことや地域社会、地球環境などを思いやるような商品のことを「エシカル商品」、そういった商品やサービスを選択することを「エシカル消費」といいます。 そして、暮らしの中で、人や地球環境、社会、地域に配慮した選択・行動を取り入れることを「エシカルな暮らし(エシカルライフ)」と呼んでいます。

エシカルな暮らしにハッキリとしたルールや決まりはありません。暮らしの中にエシカル商品やエシカル消費を取り入れるなど、積極的に実践していければベストです。すぐにでもできることとして、エコバックの持参やゴミの分別などもエシカルな暮らしの要素といえます。大切なことは継続できることですので、自身の生活に取り入れやすいものから実践していきましょう。

下記では「エシカルファッション」や「地産地消」、「フェアトレード」について紹介します。

エシカルファッションを取り入れてみよう

エシカルファッション

エシカルファッションとは、地球環境だけでなく、生産に関わる人の労働環境などにも配慮して材料調達〜販売までを行っているファッションのことです。

世界的に人気のファストファッションは、気軽に購入して楽しむことができる一方で「大切に長く着る」という考えが薄れ、廃棄も気軽に行われていることが問題となっています。 服を使い捨てのように考えるのではなく、自身が本当に気に入ったものを選び、長く着るようにしましょう。これはファストファッションでもエシカルファッションでも、服を購入する際に大切な考え方です。

また、全てのファストファッション企業が当てはまるわけではありませんが、中には、生産者が過酷な労働環境にさらされていたり、製造過程で環境汚染が発生したりと、人や環境の犠牲のうえに成り立っている企業もあり、しばしば問題となっています。

2013年に起こったバングラディシュのラナ・プラザ崩落事故は、世界に衝撃を与えました。ラナ・プラザという商業ビルにはファストファッションを中心としたブランドの縫製工場が数多く入居していたのですが、違法な増築とずさんな安全管理により崩落事故が発生。低賃金で働いていた労働者1100人以上が犠牲になりました。

この事件をきっかけに、ファッション産業の裏側にある過酷な状況が問題視されるようになりました。染色工場から出る排水による河川の汚染や、農薬の影響によるコットン生産者の健康被害なども明るみになってきたことで、「もっとエシカルなファッションを購入したい、着用したい」と考える人たちが増えるようになりました。

現在はまだエシカルファッションの明確な認定基準はないのですが、2006年に設立された「Ethical Fashion Forum」では以下のようにエシカルファッションの条件を定義しています。

1.環境保護
 1-1エネルギーと水の効率
 1-2化学物質管理
 1-3汚染削減
2.リサイクルと廃棄物
3.環境にやさしい素材の使用
 3-1オーガニック材料
 3-2その他の環境にやさしい素材
4.公正な取引(フェアトレード)
5.まともな労働条件
6.伝統的な技術への支援
7.倫理的ソーシングとサプライチェーンマネジメント
8.アニマルフレンドリー

地産地消の身近で新鮮な食品を食べよう

地産地消

地元で生産された野菜や果物などの農産物や、地元で捕れた海産物などをその地域で消費することを地産地消と言います。

この地産地消は、生産者にも消費者にもメリットがあるエシカル消費です。

■生産者にとってのメリット
・多品種・少量生産でも直売所などで販売できる
・輸送距離が短くなるためCO2排出量を減らせる
・遊休農地の再利用ができ、耕作放棄地を減らせる

■消費者のメリット
・「誰が作ったのか(捕ったのか)」という生産者の顔が見える
・市場などを通さないため、安い価格で購入できる
・地元の生産者の応援や地域経済の活性化につなげられる

そのほか地産地消は少量生産のため、廃棄も減らすことができ、フードロスにもつなげることができます。

フェアトレード商品を選んでみよう

食品など、商品を購入する際にフェアトレードのものを選ぶことはエシカル消費の一つの形といえます。

私たちがチョコレートやコーヒーを安く買うことができる代わりに、途上国の人が低い賃金で働かされたり、小さな子が学校に行けずに働かなければならない問題が起きている場合があります。

生産者が美味しいもの・品質の良いものを作り続けていくために、生産者の労働環境や生活水準を改善し、自然環境の保護等をサポートする、持続可能な生産と取引の仕組みに、「フェアトレード」があります。

フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」です。

下記に代表的なフェアトレード団体を紹介します。

■Fairtrade International(国際フェアトレードラベル機構) 国際フェアトレード認証ラベルの認証を行っている団体です。
国際フェアトレード認証ラベルは、①適正価格の保証、②プレミアム(奨励金)の支払い、③長期的な取引、④児童労働の禁止、⑤環境に優しい生産などの基準を満たした製品についています。
国際フェアトレード認証の対象産品は、コーヒー、カカオ、コットン、紅茶、バナナ、花、スポーツボールなど多岐に渡ります。

国際フェアトレード認証ラベル

■World Fair Trade Organization(WFTO、世界フェアトレード機関)
Fairtrade International(国際フェアトレードラベル機構)は製品に対する認証を行いますが、World Fair Trade Organization(世界フェアトレード機関)は企業・団体そのものが加盟するネットワーク機関です。 特定の製品やサプライチェーンだけでなく、企業の構造、ビジネスモデル、運営、サプライチェーン評価を含むビジネス全体を、フェアトレードの10原則を基準に評価します。
認定された企業・団体は、別途申請を行うことで、製品にフェアトレード認証ラベルを使用することもできます。

上記のほかに日本に多い形態として、独自に基準を作成し、生産者と直接取引をすることでフェアトレードをしている団体や企業もあります。




まとめ

エシカル な暮らしをすることは、SDGsの2030年の達成につながっていきます。今回紹介した「エシカルファッション」「地産地消」の他にも、エシカルな暮らしにつながるヒントはたくさんありますので、自身の暮らしに取り入れやすいものや、興味があることから実践していきましょう。

[参考]
独立行政法人国際協力機構:
https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article014/index.html

愛知県県民文化局県民生活部県民生活課:
https://www.pref.aichi.jp/kenmin/ethical/about/

鳥取市消費生活センター:
https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1609981870138/index.html

ETHICAL FASHION FORUM:
https://the.ethicalfashionforum.com/

Common Objectiveプラットフォーム:
https://www.commonobjective.co/how-co-works#sustainability-definitions-tab

フェアトレードジャパン:
https://www.fairtrade-jp.org/

World Fair Trade Organization(WFTO):
https://wfto.com/

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