地球温暖化対策 DX推進、サプライチェーン改革の取り組みを紹介

多くの企業では、温室効果ガス排出量削減などの取り組みが始まっており、昨今では「自社だけ」ではなく、サプライチェーン全体で取り組むことが世界的な主流となっています。
地球温暖化対策への活用が期待されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。DX推進はサプライチェーンを含めたそれぞれの企業にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、DXを推進することで企業にもたらされるメリットと、より効果的なDXの事例を紹介します。

地球温暖化対策はサプライチェーンで考える時代に

いま多くの企業が脱炭素化に取り組んでいますが、近年、脱炭素をサプライチェーン全体としてとらえようという考え方が世界の主流になりつつあります。
サプライチェーンとは、ある商品の原料調達に始まり、製造・物流・販売・廃棄までの流れを指しますが、このそれぞれの段階で、脱炭素を意識した取り組みを行うことの重要性が注目されています。

では、サプライチェーンという大きな流れの中、どのように温暖化対策を行えるでしょうか? その助けになるのがGHGプロトコルです。

GHGプロトコルとは、温室効果ガスプロトコルイニシアチブの略で、アメリカの環境シンクタンクが主導して開発した、いわば世界共通の「ものさし」です。

GHGプロトコルでは、温室効果ガスをScopeという3つのグループに分けて考えます。この3つのScopeを足したものがサプライチェーン全体の排出量となり、国際規格に基づいた温室効果ガス排出量を算出できるのです。

サプライチェーン全体として脱炭素に取り組むことで、温室効果ガス排出量の全体像を把握し、どこに改善の余地があるかを特定しやすくなります。
また、自社だけでは難しい取り組みも他社と連携することで行いやすくなり、さらに企業間の連携を強め、投資家や消費者への情報開示にも役立ちます。

地球温暖化対策を後押しするDX

地球温暖化

出典:環境省「サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ」

近年、サプライチェーンでの温暖化が注目を集め、脱炭素化への取り組みが大企業だけでなく中小企業にも求められるようになっています。 もし取引先から脱炭素化を求められているのに対応できなければ、安定したビジネスが難しくなる懸念もあります。

こういった状況の中で、脱炭素を進める鍵になるのが『DX(デジタルトランスフォーメーション)』、つまりデジタル化です。 環境省では「DXと脱炭素は(車の)両輪として一体で実装していくのが望ましい」と提案しています。脱炭素には、各企業のDX推進が不可欠と考えられているのです。

例えば、再生可能エネルギーのような「自然」任せの電力を効率的に使うには、コンピュータを活用したエネルギー管理が有効です。エネルギーの使用量や発電量をモニタリングし、AIやビックデータ分析を活用することで、エネルギーの最も効率の良い使用方法を把握することができます。

製造現場では、自動化やロボット、AIの導入により、省人化や作業効率の向上を図ることで省エネルギーにつなげることができます。ビックデータ分析による加工条件の最適化や、検査工程での画像AIの活用など、さまざまな事例があります。

ある調査によると、DX推進によって15%の脱炭素が実現したといわれており、DX推進は温暖化対策への近道なのです。

そのほか、ペーパーレス化の推進や、クラウドの利用、テレワークの導入で従業員の通勤時間を減らすことも、温室効果ガス排出量の削減につながります。

ある調査によると、DX推進によって15%の脱炭素が実現したといわれており、DX推進は温暖化対策への近道なのです。

日本におけるDX推進の現状

日本では、海外に比べて中小企業のDXの遅れが目立っています。 IPA(独立行政法人 情報処理機構)の調査によれば、従業員数「1001人以上」の大企業でDXに取り組んでいる割合は94.8%ですが、従業員規模が「100人以下」になると、その割合は約40%まで下がってしまいます。

もちろん会社によって事情は異なりますし、初期投資にはそれなりの予算も必要です。まずはすぐできる身近なDXから始め、少しずつ規模を大きくしていくことで、サプライチェーン全体の脱炭素化に貢献することができるでしょう。

まとめ

より効率的に脱炭素化を進めるためには、自社だけでなく、サプライチェーン全体でDX推進を行っていくことが効果的です。
従業員規模にかかわらず、経営者自身が温暖化対策とDX推進への積極的な意識を持ち、DX人材を育成しながら、脱炭素化を推進する取り組みが各企業に求められています。

[参考]
環境省:
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/supply_chain.html

経済産業省:
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2022/pdf/honbun_1_7_2.pdf

デジタル庁:
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5ecac8cc-50f1-4168-b989-2bcaabffe870/d130556b/20220607_policies_priority_outline_05.pdf

独立行政法人 情報処理推進機構:
https://www.ipa.go.jp/files/000108044.pdf

大川印刷:
https://www.ohkawa-inc.co.jp/category/green_printing/

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