SDGs17 パートナーシップで目標を達成しよう ドーハラウンドとは?

2023.9.1

SDGsの17のゴールのうち、最後に掲げられているのがSDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」です。SDGs17は、1から16までのゴールを達成するために必要な資金をどのように調達・確保するのか、具体的に目標を設定しています。この中で登場する「ステークホルダー」「ドーハラウンド」などの用語についても説明します。
SDGsを机上の空論で終わらせないために、本当に必要なものは何でしょうか? ゴール17で焦点を当てている「パートナーシップ」の意味と、私たち一人ひとりが目標達成のために貢献できることを考えます。

SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは

SDGs達成のためにはすべての人の協力が欠かせませんが、SDGs17では「実施手段の強化」と「世界の協力」にフォーカスし、資金や技術、貿易などの分野でそれぞれのターゲットを示しています。

SDGs17には「マルチステークホルダー」や「ドーハラウンド」など聞きなれない言葉や投資についての項目も出てきますが、なかでも重要なのがマルチステークホルダーとのパートナーシップです。
ステークホルダーとは企業の経営等での利害関係者を指します。SDGs17ではこのステークホルダーとのパートナーシップが、取り上げられています。ステークホルダーとは、利害関係者を指し、マルチステークホルダー、つまり多種多様なステークホルダーである従業員や株主、金融機関、政府などが対等な立場で話し合いや議論をして、課題解決を目指すプロセスのことをマルチステークホルダープロセス(MSP)といいます。

ラウンドとは、関税など様々な面で公正な貿易が行われるための取り決めをする多角的な貿易交渉のことで、なかでも、ガット(関税及び貿易に関する一般協定)が1986年から行っていた第8回交渉はウルグアイラウンドと呼ばれており、WTOの設立につながりました。そしてWTOで行われたドーハラウンドとは、2001年に始まった、公平な貿易を行うための世界貿易機関加盟国による交渉です。

また、後発開発途上国を支援するため、知識や資金を動員しパートナーシップを強化するよう呼びかけられ、日本でもソーシャルグッドなビジネスやESG投資が活発化しています。ESG投資とは社会や環境に配慮した企業に投資することです。
これらはいずれも「パートナーシップ」に関わる考え方です。

SDGsの構造はウェディングケーキモデルとして表現されることがありますが、SDGs17はこの「ケーキ」の軸であり頂点として描かれています。この図からも、SDGs17は他のすべての目標と密接に結びついていることが分かります。

ドーハラウンドやMSPが切り札に!? SDGs17が必要な理由

SDGs17はなぜ必要なのでしょうか?
SDGs17内の19のターゲットのうち5つで言及されている発展途上国への支援金問題を考えてみましょう。
ODA(政府開発援助)による途上国への支援は決して十分ではありません。ユニセフによると、SDGs達成には年間約2.5〜3兆ドルが不足しているとされています。日本のODA予算も削減・伸び悩みが続いており、ピーク時の1997年に比べると現在は約半分まで減少しています。

先進国と途上国の技術格差・情報格差、いわゆる南北問題も大きな問題です。そもそも、どこにどんな支援が必要なのかを知るにはデータが必要ですが、その指標となるデータが途上国では圧倒的に不足しています。
アフリカでは大気汚染について正確に測定できている国はわずか6%で、9億人以上の子どもたちが貧困や暴力についてのデータがない国に暮らしています。民間と政府が協力して調査を進め、課題を共有するMSPが必要なのです。

不平等な貿易という課題もあります。途上国は国際市場から遠い、または貿易に必要な運送や貯蔵といったインフラが整備されていないなど、多くの不利な条件があります。輸出品に高い関税がかけられ、不当な低価格での取引も珍しくありません。ドーハラウンドでは途上国の関税の削減・撤廃についても議論されてきましたが、まだ大きな成果はあげられておらず、貿易を通した支援のルール作りが引き続き求められています。

みんなの協力が不可欠―SDGs17達成に求められるパートナーシップ

ゴール17を達成するため、どんな取り組みが行われているのでしょうか。フェアトレードの導入や、途上国同士で支援を行う「南南協力」、それを先進国が支援する「三角協力」は、国境を越えたパートナーシップによる取り組みです。また、社会的課題に取り組む企業を消費者が評価する流れも進み、投資家と企業のパートナーシップがさらに強化され、日本でもESG投資は増加しつつあります。


さらに異業種の企業間同士、政府×国連機関、あるいは政府×民間企業、民間企業×大学など、異なるステークホルダーが連携し、それぞれの強みを活かしてSDGs達成を目指すプロジェクトも増えています。
国内では「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」が立ち上げられ、7,000以上の団体が連携して地方の課題解決に取り組んでいます。

企業や地元自治体などと連携し、SDGs推進のための調査や啓発イベントを行う大学や、ミャンマーの水質保全やアフリカでの給水事業などの研究を数年にわたって続けている大学もあります。

このパートナーシップには、私たち一人ひとりも含まれます。国際支援を行っている企業を支援したり、募金やボランティア、SDGs関連のキャンペーンに参加することのほか、エシカルな消費を心掛けたり、SNSでSDGsについて発信することなども支援の一つになります。小さな行動でも多くの人が続けていくことで、SDGs17の目標達成へと繋がっていくのです。



まとめ

SDGs17は、他の目標を達成するために重要な項目であり、これを実現させたいと思う人が1人でも増えることが大切です。普段、政治や貿易などの分野に直接かかわっていなくても、SDGs17のために行えることはたくさんあります。
国際的なパートナーシップの一員として、自分にできることを見つけ、今日から行動に移していきたいですね。

[参考]
外務省:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki.html

経済産業省:
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2022/2022honbun/i3120000.html

農林水産省:
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kanri/jirei_SDGs.html
https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kousyo/wto/pdf/202207_wto.pdf

ユニセフ:
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/17-partnerships/

国際連合:
https://www.un.org/sustainabledevelopment/globalpartnerships/

国際連合広報センター:
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/

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