SDGs11 住み続けられるまちづくり 災害対策やごみ処理問題の重要性

SDGsの11番目のゴールは「住み続けられるまちづくりを」です。
以前は当たり前だった“住み続けられるまち”は、気候変動や都市部への人口集中などの原因により、当たり前でなくなりつつあります。
そこで、本コラムでは「レジリエンス」をキーワードに持続可能なまちづくりとは何かを解説します。

SDGs11とは?

住み続けられるまちづくり

SDGsで掲げられているゴール11「住み続けられるまちづくりを」。国連広報センターの示すその目標の正式な表記は「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」となります。

近年、気候変動などに起因する自然災害により、人々が安心・安全に住み続けられなくなる状況が増加しています。また、人々が都市部に集中してきていることも問題となっています。

SDGs11に対する主なターゲットとして、どのような取り組みが求められているのでしょうか?世界で起きている問題とあわせて、下記に解説します。

■誰一人取り残さないまちづくりのために

世界では10億人もの人々が、スラム街(都市の貧しい人々が住む地域)で暮らしています。スラム街に建つ住宅はぜい弱な作りであるため、地震や火災などの災害が発生した際には多くの人々が犠牲になる恐れがあります。また、インフラが整備されていないため衛生環境が悪く、感染症拡大のリスクが高まったり、ゴミの捨て場所が問題となっています。

SDGs11では、2030年までに、すべての人が住むのに十分で安全な家に安い値段で住むことができ、スラム街(都市の貧しい人々が住む地域)の状況を良くすることをターゲットとしています。

また、女性や子ども、お年寄り、障がいのある人など、 社会的に弱い立場にある人々(社会的弱者)に配慮した、都市交通インフラの整備も必要です。あわせて、社会的弱者を含むすべての人が、 安全で使いやすい緑地や公共の場所を使えるようにすることが掲げられています。

誰も取り残さない持続可能な街づくりをすすめていくと同時に、 文化遺産や自然遺産などの保護にも配慮することを推奨しています。

■災害への対策

近年、気候変動の影響により、世界で干ばつや洪水などの災害が増加しています。中・大規模災害は2015年から2030年までの間に40%増加することが予想されています。
特に気候変動の主原因であるCO2排出量の少ない開発途上国が寛大な被害を受けており、問題になっています。

こういった背景があり、SDGs11では、気候変動により頻発する災害から人命を救うための対策や災害への備えをすすめるよう提言しています。特に 災害に強い建物を建てるため、先進国に対して貧しい国への技術的・資金的援助を含めた協力を呼び掛けています。

これは開発途上国に限ったものではなく、先進国の都市部においても、気候変動による災害に備えた防災都市の構築を奨励しています。

■人口の都市集中への配慮と、周辺地域との連携

世界の都市部で暮らす人口の割合は、2020年では55%程度ですが、この傾向は今後ますます進んでいき、2050年には世界の人口の70%近くが都市部に住むと予測されています。2050年の世界の推定人口は約97億人なので、約65億人が都市部で暮らすことになるのです。

都市部に人口が集中することで、渋滞が日常的に発生するといった交通インフラの問題やスラムの拡大、大量のゴミやCO2の発生による大気汚染などの問題が発生します。住環境が悪化することで、住み続けられる人々が減少する懸念があります。

このような背景から、SDGs11として、 人口が過密状態にある都市部で発生するごみ処理問題や大気汚染などに注意を払った都市計画を行うことが求められています。あわせて、 都市部とその周辺の地域や農村部とが、経済的、社会的、環境的に連携を図るような都市計画についても提言されています。

日本で起きている問題

SDGs11の背景と、世界を取り巻く状況を説明しましたが、日本にはどのような課題があるのでしょうか?

日本でも、都市部への人口集中による問題が発生しています。
高度経済成長が続いた1950年代から1970年代まで、東京や大阪をはじめとした都市部への人口集中が続きました。以降、現在に至るまで都市部への人口集中は解消していません。

前述のような、交通渋滞の常態化や廃棄物、大気汚染などの問題に加え、自然災害が多い日本では、災害発生時に大規模な被害となることも深刻な問題になります。

そして、都市計画のひずみにより、取り残される「空き家」も懸念されています。
放置された空き家は、倒壊など危険な状態になるだけでなく、ゴミの不法投棄やねずみ、害虫などの繁殖による衛生面の悪化をもたらします。

これらの問題を解決するためには地方創生により地方の活力を回復し、都市部への集中を避ける努力をしていくことが重要と考えられ、政府は優れたSDGsへの取り組みを提案する地方自治体を『SDGs未来都市』と選定し、奨励しています。

SDGs11の達成にはレジリエンスが重要なキーワードに

SDGs11を達成していくためには、『レジリエンス』が重要なキーワードとなります。

ここまで述べてきたように、都市部への人口集中や地球温暖化による自然災害など、適切な対策を施さなければ住環境の強靱性が失われ、住み続けられないまちとなっていくのです。例えば自然災害の被害拡大のみならず、すでに私たちが経験した感染症に対する脆弱性も増大します。「まち」が正常な状態を保ち続けるための対策を講じることにより、速やかに元の状態に戻ることができるのです。

そこで日本政府では人口の地方分散化と同時に、多くの自然災害の経験で培われた知識・技術を活用して、防災対策や災害復旧・復興における国際的な支援を行っています。

本体会議には6500人以上、一般公開の関連イベントも含めると15万人以上が国内外から参加し、日本で開催された国連会議では過去最大級の規模となりました。

2015年3月に、宮城県仙台市で開催された国連防災世界会議には、関連イベントを含め、国内外から15万人以上もの参加者が集まりました。この会議の成果物として、防災の国際的な指針である「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。 後に、「仙台防災協力イニシアティブ(2015年)」や「仙台防災協力イニシアティブ・フェーズ2(2019年)」が発表されています。 このように、日本は災害レジリエンス(災害リスクに対する強靱化・回復力)に対する国際的な主導権を発揮しているのです。

まとめ

SDGs11を達成するために、国や地域の規模での計画策定や、さまざまな取り組みを行っていくことが重要です。
私たち一人ひとりができることは、地域活動やまちづくりに積極的に参加することだといえます。まずは自分が住んでいる街の魅力を考え、情報を発信することを始めてみてもいいかもしれません。

小さな行動でも、社会の一員として行動してくことが、SDGs11の達成につながっていきます。





[参考]
外務省:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal11.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf

国際連合広報センター:
https://www.unic.or.jp/files/shifting-demographics.pdf

UN Women(国連女性機関):
https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/in-focus/sdgs/sdg11

日本ユニセフ協会:
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/11-cities/

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