生物多様性とは? 重要な生物多様性条約(CBD)について知ろう

毎年多くの生きものが、地球上から姿を消しており、このままだと近い将来、4万2000種以上の生物が絶滅の危惧があると想定されています。
今回は生物多様性の重要性と、生態系が直面している危機について解説します。
そして、持続可能な社会のために多様性を守るための国際条約や、その他の取り組みについても解説します。

圧倒的スピードで喪失!? 生物多様性とその重要性

「生物多様性(Biodiversity)」という言葉は、「生物的な(biological)」と「多様性(diversity)」という2つの言葉をもとに1985年に誕生しました。
これは、地球上の生物と生物が生きる環境がバラエティに富んでいることを表す言葉です。

環境省によると、地球上には未発見のものを含めると約3000万種もの生物がいるといわれています。これらの多種多様な生物の暮らし、「生物多様性」は私たちの生活を支えているのです。
たとえば、医薬品の多くが植物から作られていることをご存知でしょうか。
普段はあまり気にすることがないかもしれませんが、医療の分野で5万種以上もの植物の成分が役立てられているのです。
このように、私たちが生態系から恩恵を受けている「サービス」を金額に換算すると、なんと年間3000兆円以上になるとみられています。

しかしながら、地球上の生物は人間に役立つために存在しているわけではありません。
生態系は微妙なバランスの上に成り立っており、いったんそれを壊してしまうと元に戻すことは極めて困難です。

ところが今、地球上の生物の4万2000種以上が絶滅の危機に瀕しています。
もちろんいつの時代でも消えゆく種はありましたが、近年はその自然淘汰の1000〜1万倍という圧倒的なスピードで生物が絶滅しているのです。
その主な原因である気候変動や自然破壊、乱獲などを引き起こしているのは、私たち人間にほかなりません。
そこで生物多様性を守るためにスタートした取り組みのひとつが、生物多様性条約(CBD)なのです。



生物多様性を守るために―もうひとつのCOP

COP(Conference of the Parties)とは、国際条約を結んだ国同士の会議のことです。有名なのが「気候変動に関する国際連合枠組条約(FCCC)」の締約国会議(COP-FCCC)で、メディアなどで報道されるCOPはほぼこちらを指しています。
一方、生物多様性に関しては1993年に発効した「生物多様性条約(CBD)」の締結国会議(COP-CBD)が約2年に1度開催されています。

COP-CBDの歴史で注目したいのが、2002年にオランダで開かれたCOP6と、2010年に名古屋市で開かれたCOP10です。
COP6では「2010 年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という、いわゆる「2010年目標」が採択されましたが、2010年に開かれたCOP10では残念ながらその目標が達成されなかったことが明らかになりました。
そして新たに、2050年には自然と共生する世界を実現するため、2020年までに多様性の損失を止めるために状況を分析把握し、保全活動を拡大するという目標が立てられました。

2022年にカナダで開かれた最新のCOP15では、2030年までに地球上の陸域、海洋・沿岸域、内陸水域の30%を保全することが合意されました。また多様性を守るための資金や技術支援、それぞれの国のレベルやニーズに応じた組織能力の開発についても話し合いが持たれました。
国ごとに自然環境や経済発展のレベルが異なるため、目標達成には国同士が定期的に話し合いを行い、計画のすり合わせや見直しをすることが重要です。

生物多様性を守る持続可能な利用

「生物多様性条約」と「気候変動枠組み条約」、この2つのCOPには密接な関わりがあります。
そもそも、「生物多様性条約」と「気候変動枠組み条約」は、どちらも1992年の地球サミットからスタートしました。そのためこの2つの条約は、「双子の条約」とも呼ばれています。

気候変動が生物多様性に大きな影響があるのは周知の通りです。
たとえば温室効果ガスの排出は海水温を上げ、サンゴの白化現象を引き起こします。
ある学者は、1.5℃の温暖化によって、サンゴ礁の70〜90パーセントが失われると述べました。

サンゴの死は、サンゴだけの問題に留まりません。
サンゴは海の生物の4分の1、実に7000種以上ともいわれる生物に住処や食料を提供しています。わずかな気候の変動が、生物多様性を大きく揺るがしてしまうおそれがあるのです。

国や企業は温室効果ガス対策や保護区を作るなど、生物の多様性を守る取り組みをすすめていますが、 私たち個人としてはどのような行動ができるのでしょうか。
そのひとつは、生物の持続可能な利用を心がけることです。たとえば、商品を購入するときに、森林認証制度や海洋管理協議会(MSC)の認証があるものを選ぶことは、生物の多様性を脅かす乱獲や違法伐採の被害を減らすことにつながります。

まずは、私たちの身の回りの製品が「どこから」「どのように」やってきたのか、興味を持つことから始めてみませんか?

まとめ

このように、地球上ではあらゆる命が他の命とつながっており、他の生態を守ることが、ひいては私たち人間を守ることにもつながります。
持続可能な社会のためにも、生物の多様性を守りながら適度な購入と消費を心がけたいものです。

[参考]
環境省:
https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin_backnumber/issues/18-05/18-05d/tokusyu/2.html
https://www.env.go.jp/content/000124381.pdf
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r05/pdf/full.pdf

WWFジャパン:
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3516.html
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3517.html
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/4714.html

国際連合広報センター:
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/45923/

おすすめ記事